警備業の国際ルール「ISO18788」ってなに?

セキュリティ

警備業の世界的な市場規模拡大と、警備企業の国際的な展開に伴い、国際ルール制定の需要が高まり、2015年にISO18788という国際規格が策定された。今回は、この規格に記載されている内容、そして日本の警備会社がこの規格とどう向き合っていくべきかについて解説していこう。

ISO18788の概要

そもそも、「ISO」とはどのようなものかをご存知だろうか。これは、International Organization for Standardization(国際標準化機構)の略で、さまざまな分野の製品やサービス、システムなどにおいて品質の向上や安全性・効率性の確保を図るため、国際規格である「ISO規格」の制定を行っている国際機関である。

このISO規格のうち、今回取り上げるISO18788は、民間警備業務のためのマネジメントシステム規格だ。日本の警備・セキュリティ関係者はまだまだこの規格に対する興味が薄いものの、国際規格である以上、この内容をまったく知らないというわけにはいかない。

ISO18788の重要事項

ISO18788に記載されているなかでも、特に重要な事項、知っておかなければならない内容について解説していこう。

規格の適用対象

この規格の適用対象となっているのは、警備業務を提供する組織。これには「自社内の警備業務を行う企業」と「委託を受けて行う警備企業」の両方を含む。また、これらには武装警備員による警備サービスを行う民間軍事警備会社、そして合弁企業も含んでいる。

対象となる警備業務

適応対象となっているのは、警備や身辺警護、物理的警護措置、セキュリティの認知と訓練、リスク・セキュリティ・脅威の評価、個人管轄区域、外交区域や居住区域の警護、警備措置の提供、輸送警備、政策分析などの警備業務である。

警備業務マネジメントシステム(SOMS)

本規格では、警備業務を効果的に実施するためのビジネスとリスクのマネジメントの枠組みが示されている。その中核として、顧客やステークホルダーの要求を満たすよう専門的な警備業務を実施する、法律の遵守や人権の尊重に関する説明責任を果たすなどの内容を盛りこんだ警備業務マネジメントシステム(SOMS)の確立が求められている。その中で警備業務を実施する際、リスクマネジメントに関することをフォーマルな形で文書化し、リスク評価のプロセスを制定するよう求められているのだ。

「PDCAアプローチ」を採用すること

警備業務の展開において、Plan(計画)、Do(実行)、Check(点検)、Action(改善)という一連のいわゆる「PDCAアプローチ」を採用し、それにより各警備企業において、顧客やステークホルダーの要求を満たせる水準のビジネスおよびリスクの管理能力、警備業務活動の地域コミュニティへの影響の評価と影響への対応、警備企業の法の実施義務と人権の尊重、警備業が行う自主的約束の遵守などが確保されていることを示すことが求められている。

この規格が特に必要とされる適用地域

どのような対象エリアで、この規格が特に必要とされているか。そして、規格を適用するにあたって人権を保護することの重要性などが説かれている。

日本の警備会社は、この国際規格とどう向き合うべきか

現状、日本の多くの警備会社はビジネスやリスクのマネジメントに関して、ルールを策定したり文書化したりして管理できているとは言い難いだろう。多くの企業は会社単位での管理体制が築けておらず、個々人の属人的なスキルや経験則に頼っているというのが現状ではないだろうか。しかし、将来的にISO18788の規約内容にのっとった形で業務を遂行することを目指すのであれば、今のうちからそうした内容を明文化する文化を形成しておく必要があるといえる。

また、より良いサービスを顧客が享受するためには、顧客側もISO18788に関する知識を持ち、それに即した業務を行っている企業を判別する能力が求められてくるだろう。顧客の側に、「ISOに準拠した業務を行っている企業を選ぼう」という意識が醸成されてきた場合、この規格の内容を理解している企業、そしてISOを取得している企業が優先的に選ばれることは想像に難くない。

おわりに

今はまだISO18788の制定はそれほど業務には影響していないものの、警備やセキュリティに関連する業界で働く以上、その業務に関連しているISO18788の内容を把握することが将来的に必須となるのは間違いない。正しい知識を身に付け、その内容に即した経営展開をしていくこと。そして可能であればISOを取得し社会的な信用を得ていくことが重要といえるだろう。