物流セキュリティはサプライチェーン全体で考えよう!

セキュリティ

物流にまつわるセキュリティを考えるときは、消費者の手に届けるまでの一連の流れ、サプライチェーン全体で考える必要がある。今回は、サプライチェーンのなかから見た物流セキュリティについて考えてみよう。

サプライチェーン全体からの視点が必要な理由

資材調達から工場での加工、倉庫での製品保管、そして消費者の手に届けるまでの製品の流れであるサプライチェーンは、受発注の流れである「商流」と、部品や製品など物理的なものの流れである「物流」に分けることができる。商流では、原料メーカー、部品メーカー、完成品メーカー、卸売業者、小売業者などがあり、それぞれの物品の流れすべてに物流事業者が関わっている。従って、物流にまつわるセキュリティを考えるときにはサプライチェーン全体からの視点が欠かせないのだ。

サプライチェーンのリスク

サプライチェーン全体から見たときのリスクにはさまざまなものがある。いくつか例を挙げてみよう。

・ 自然災害

・ 火災をはじめとした輸送中の事故

・ 政策、税務、公的規制

・ 経済と金融市場の動向

・ カルテルや贈賄などのコンプライアンス違反

・ 製品やサービスの品質の低下

・ サイバーセキュリティの脆弱性

ほかにも業界特有のリスクも存在する。例えば、医薬品業界では、返品・回収された薬剤の取り扱いといったことも重要である。

サプライチェーンのセキュリティ

サプライチェーンマネジメントは、サプライチェーン上の在庫を極小化するとともに、短いリードタイムで製品を供給するためにある。従って、サプライチェーンでセキュリティを確保する目的は2つあるといわれる。商流と物流が効率よく安全に流れるようにすることと、災害や事故など何らかの障害が生じたときに迅速に回復することである。

サイバーセキュリティ

それから、サプライチェーンのセキュリティ関連で現在、特に重視されているのは、サイバーセキュリティである。セキュリティの弱い事業者があれば、それがサプライチェーンのどこに位置していようと、そこからサプライチェーン全体が攻撃されるからだ。大企業のセキュリティは堅固なので、サプライチェーンにつながっているサードパーティの小規模のサプライヤーが狙われやすい。

例としては、2013年に発生した1億件以上のクレジットカード情報の漏えい事件が挙げられる。犯罪グループは、米国Target社に冷蔵機器を納入していた業者への侵入を足掛かりに、Target社への侵入を成功させ、情報の窃盗に至っている。

物流セキュリティ

そして、サプライチェーンのリスクマネジメントで大きな位置を占める物流のリスクには、貨物盗難があることも認識しておきたい。

貨物盗難の防御には、鍵だけでは不十分なことがある。多層防御となるセキュリティプログラムの実行が理想的だろう。共同配送で組むパートナー企業やトラックの運転手、配送ルートを慎重に選ぶことから始まって、物品によっては、配送をモニターしたり、トラッキングしたりする方法などがある。

サプライチェーン内のすべてのパートナーと協同して、盗難防止プログラムを遂行することが大切である。

世界的に見ると、貨物の盗難は、運転手が車両を離れた隙に荷物を奪うといった簡単なものが多いが、なかにはITテクノロジーを使って身元を詐称したり、トラッキングデバイスを通信妨害したりするケースも出ている。貨物盗難の観点からも、サイバーセキュリティ対策は重要といえる。

関係業者と協力体制を

物流のリスクマネジメントを進めるうえでは、サプライチェーンとロジスティックスの構造を把握し、関係事業者との協力体制を作り上げ、目標を共有化し協業することが大切である。

サプライチェーン内のパートナーシップの確立には、パートナーシップ推進のための人材の育成と確保、連絡会議や研修会の共催などが有効だろう。