警備員の人手不足を解消する切り札は外国人?

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飲食店や語学教室など、日本でも外国人が働く場面を目にすることが増えてきた。そんななか、介護や農業、製造業といった分野で人手不足が懸念されており、経団連は対策として「外国人材受け入れ」を掲げている。しかし、人材が増える反面、サービスの質や日本人の失業者増加といったデメリットも考え得る。警備業界でも同様に、警備員の需給ギャップが問題となっているが、外国人材受け入れによる影響はあるのだろうか?

経団連の掲げる「外国人受け入れ」の背景

現在の日本では、職種によって労働需給のミスマッチが激しい。特に、看護や介護、農業、製造業、建設業などは慢性的な人手不足に陥っている。若年者や女性、高齢者などの現在就業していない人々の雇用によってこれを解消することが重要だが、求人をかけても応募者が足りていないというのが現状だ。

そこで、2014年4月に行われた経済財政諮問会議と産業競争力会議の合同会議では、外国人材の活用の仕組みを検討。それまでは高度技術や知識を持つ人材を中心に受け入れ体制が整えられてきていたが、この会議においては単純労働を行う外国人の受け入れも認める方向で議論が進んだ。

しかし日本では、外国人が働きたいという意思があっても、現在のところ在留資格によっては在留期間が設けられており、長期間の就労は阻まれている。そのため、在留期間の延長や申請の簡略化なども検討されている。

そもそも「外国人」に警備員になる法的資格はあるのか

警備も人手不足が問題となっている業界のひとつだ。特に、大規模な国際イベントとなる2020年の東京オリンピックではテロも懸念されており、警備の重要性は明らかである。外国人観光客の増加と同時に、警備強化の必要性も重視されており、2016年10月に外国人雇用協議会から出された「外国人材受入れ拡大に係る政策提言」では海外での業務経験年数等に基づき、警備の高度技術を持つ外国人材の受け入れを認めるよう提案されている。しかし、外国人材を受け入れて警備に充てるとしても、そもそも外国人は法的に警備員になる資格があるのだろうか。

「警備員の制限」を定めた警備業法第14条1項によると、「18歳未満の者」、「青年被後見人もしくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの」など、そこに掲げられた欠格要件(8項目あり)に該当する者は警備員になることができないが、外国人が警備員になれないとは記されていない。つまり、外国人が警備員になることはできるのだ。現在のところ、就労資格によって在留期間が設けられていることが、大きなネックといえるだろう。

外国人材受け入れによって起こり得る混乱

外国人労働者の受け入れによって人材が確保される一方で、それによって起こり得る混乱も当然ある。もちろん、言語や文化の違いから起こるミスもあるだろう。せっかく人材の量を確保しても、サービスの質が落ちてしまえば外国人労働者全体に対する風当たりも強くなるかもしれない。

また、低賃金で雇える外国人が増加すれば、これまで就労していた日本人が職を失うことも考えられる。仕事を求めてやってきた外国人に対する健康保険や失業保険、年金、子どもの教育費などの行政の負担も増えるだろう。そうなると、外国人に対する人種差別が起こる可能性もないとはいえない。同一民族が一定の地域で集まって暮らした場合、そのコミュニティが孤立してしまうといったリスクもある。

慎重な判断が迫られる各業界

現在、人材不足がさまざまな業界で懸念されているが、外国人材受け入れにより解消できる可能性がある。政府がこれに向けて動き出している今、日本で働く外国人の姿を見かける機会は今後ますます増えるだろう。しかし、サービスの質の低下や日本人の失業率増加、差別など、外国人材受け入れによって起こり得る問題もたくさんある。そうした問題をできるだけ少なくするためにも、政府の対応や外国人材の育成も急がれる。警備をはじめ、どの業界も慎重な判断を迫られるだろう。