HACCPだけで大丈夫?フードディフェンスの重要性

セキュリティ

HACCPの浸透もあり、食品製造過程において異物混入を防止する取り組みは一定程度浸透した。しかし、工場や物流過程における意図的な異物混入を防止する「フードディフェンス」への対策は、日本ではまだまだ浸透していないといえる。今回は、フードディフェンスの重要性について考える。

フードディフェンスが必要な理由

食品の安全性を確保するために講じる対策には2つある。「フードセーフティ」と「フードディフェンス」である。 フードセーフティは「意図的でない異物混入を防止するための取り組み」ということであり、HACCPやISO22000などを導入しているところもあるだろう。しかし、 フードセーフティでは、意図的な異物混入を防止することはできない。そこで、「フードディフェンス」についても取り組む必要があるのだ。

フードディフェンスのための具体的な3つの取り組み

フードディフェンスのための取り組みは大きく分けると次の3つになる。

1. 安全性を確保するための動線、ゾーニング、人員配置

2. 監視機能の導入

3. 従業員の意識を高める教育

1の動線やゾーニングは、フードセーフティの観点からすでに確立しているところも多いだろう。2の監視機能の導入の例としては、監視カメラの設置が挙げられる。費用の面から二の足を踏んでいるところもあるかもしれないが、監視カメラの設置は抑止力につながるほか、異物混入が不可能であることを証明する手立てにもなるので、検討する価値はあるだろう。ただし、気をつけたいのが、監視カメラは設置すれば、それで終わりではない点である。監視カメラの数だけ発生する動画をどのようにチェックし、保管するのかなどの、活用するための体制をしっかり整えることも必要である。

フードディフェンスに対する従業員の教育と訓練

さらに、監視するだけではなく、忘れてはならないのが、従業員の教育である。米国の「FDA(Food and Drug Administration:米国食品医薬品局)」は、「フードディフェンスに関する従業員の教育・訓練が組織を守る第一の手段とする考え方」としている。そのために提唱しているのが「FIRST」である。従業員教育の参考に、FIRSTの内容を紹介しよう。

・ F(Follow):企業のフードディフェンスプランに従う

・ I(Inspect):働いている場所とその近辺をチェックする

・ R (Recognize):通常と異なる点があれば、それを認識する

・ S(Secure):原材料や製品などの安全性を確保する

・ T (Tell):通常と異なること、不審なことがあれば、すぐに上司に報告する

また、フードディフェンスに関する教育、訓練を行うと同時に、企業風土についても考えなければならないだろう。というのは、仕事への不満から、従業員が汚染行為に及ぶ可能性があることは否めないからだ。内部からの意図的な汚染を防止するためには、一人ひとりのものづくりへの意識を高め、やりがいのある職場づくりを心がけたい。コミュニケーションをよく図るとともに、モチベーションの向上には、従業員の責任や権限、給与体系などを見直すのもよいだろう。

「万が一」を想定しよう

日本は海外と比べて食品防御に関して甘い国だといわれている。これは、今まで防御する必要がなかったからだといえよう。しかし、残念ながら世の中の流れは、食品に対する汚染攻撃が起こり得る時代へと移行している。セキュリティに関して「今までこのやり方で問題がなかった」としても、この先はわからないのが現状だ。消費者の生活に直結している食品は、異物混入が起きると、受けるダメージは計り知れないものがある。必要な防御対策は積極的に取り入れ、危機管理能力を培っていきたい。