犯罪機会論から学ぶ犯罪防止の3要素

セキュリティ

犯罪企図者に犯罪を実行する機会を与えない「犯罪機会論」の考え方が近年注目されている。そこで今回は、「犯罪機会論」と、犯罪機会論による「犯罪防止の3要素」を紹介しよう。

注目される犯罪対策「犯罪機会論」

犯罪防止のための対策として、従来とられてきた考え方は、発生した犯罪の原因を究明し、犯罪の原因となる要素を取り除いて犯罪を防ぐという「犯罪原因論」である。ところが、犯罪の原因の究明は容易ではない。原因が明確になったとしても、それを取り除けるかどうかはまた別問題である。従って、犯罪原因論の有効性については疑問があるということになる。

それに対して、犯罪の機会がなければ、犯罪が起こらないという考え方もある。近年では、犯罪の機会を取り除くことによって犯罪を防ぐという「犯罪機会論」が新しい犯罪対策の考え方として注目されている。

「犯罪機会論」による犯罪防止のための3要素とは?

犯罪機会論に基づいた犯罪防止対策として、立正大学の小宮信夫教授は「犯罪抑止の3要素」を提唱している。3要素がそろうと、犯罪機会が減少するとのことだ。以下に詳しく見てみよう。

「抵抗性」

これは、「犯罪者から加わる力を押し返す性質」と説明されている。

ハード面からみれば、防犯ベル、非常ベル、強化ガラス、鍵などがこれに当たり、ソフト面では、リスクといったことに関する情報の収集、指差確認、リスクマインドなどの意識を指す。

「領域性」

これは、犯罪のターゲットとなる周辺について「犯罪者の力が及ばない範囲をはっきりさせる性質」と説明されている。

ハード面では、塀やゲート、ガードレールなどによって境界が設けられ、ほかと区別されている状態を指す。

ソフト面では、パトロールや防犯のための看板など、犯罪者の侵入を許さないという意思を指す。つまり、領域性の高さは、犯罪者にとっては犯罪への物理的、心理的なバリアの高さを意味する。

「監視性」

犯罪のターゲットとなる周辺において「犯罪者の行動を見張り、犯行対象を見守る性質」と説明されている。

ハード面では、犯罪者がよく見えるように、防犯カメラやライトを設置したり、ガラス張りにしたり、植木を刈り込んだりして視認性をよくすることを指す。

ソフト面では、積極的にあいさつしたり、ボランティア活動したりといった、主体的に関わろうとする意志を持つことを指す。つまり、監視性が高いと、犯罪者に犯行を躊躇(ちゅうちょ)させ、断念させることができる可能性が出てくるのだ。

ハード面だけではなく、ソフト面も重要であることを認識!

防犯の対策は、監視カメラや塀などのハード面は理解しやすく、また、対策として行いやすい部分である。しかし、ソフト面からのバックアップがあってこそ、ハード面での対策が生きてくることを認識しておく必要がある。

例えば、「抵抗性」を例にとって考えてみよう。「鍵をつける」という行為は、恒常性を上げるのに有効である。しかし、肝心の鍵をかけ忘れてしまっては、いくら鍵をつけても意味を成さなくなってしまう。従って、ソフト面である「管理意識」もそれぞれ個人のレベルで高めておく必要があるのだ。

まずは事業所周辺の秩序違反行為のチェックから

人に不快感や不安感を与え、「生活の質」を低下させるふるまいを犯罪機会論では「秩序違反行為」という。落書きや、ごみの投げ捨てなどがこれに当たる。

秩序違反行為の放置は、「犯罪抑止の3要素」の中にある「縄張り意識」と「当事者意識」の低さを示すため、犯罪の呼び水になりやすい。そのため、自分の事業所の周辺について、雑草が伸び放題になっていないか、物が乱雑に置かれていないかなど、ときおり見回って気をつけるといいだろう。また、近隣の落書きや不法投棄されたごみ、放置自転車などに対しても対処に向けてすぐに働きかけたい。