物流業界にも訪れるシェアリングエコノミーの波

テクノロジー

さまざまな業界で起こっているシェアリングエコノミーの流れ。

それは物流業界においても同様だ。

現在の物流業界がどのような課題を抱えており、なぜシェアリングサービスが登場してきたのか。

日本と海外の事例を交えて解説しよう。

現在の物流業界が抱える「非稼働時間」という課題

物流業界においては、トラックの稼働状況を大きく分けて3つに分類できる。

まずは、荷を積んで走行している時間。

そして、積み込み・荷降ろし・車両整備・給油などのために稼動できない時間。

さらに、待機や故障などのために稼動できない時間だ。

このうち、3番目の「待機」の時間を可能な限り少なくすることで、稼働効率を上げることができる。

しかし、これまでの物流業界では、ある案件と案件の合間にスパンが空いてしまうとして、どうしても一定以上の非稼働時間が生まれることは避けられなかった。

「ハコベル」は物流版Uber?

そこで登場したのが、「運送会社のドライバーの空き時間をシェアする」という考え方に基づいて作られた、物流におけるシェアリングエコノミーサービスだ。

その代表的な存在が、”物流版Uber”ともいわれる「ハコベル」。

このサービスは、運送会社の非稼働時間の情報を共有し、その時間を利用して配送するというもの。

運送業者にとっては空き時間を有効活用することができ、依頼者側にとっては安価で配送をしてもらえるというメリットがある。

利用する際には、集荷先と届け先を指定し、ルートの設定や荷物名の記載、支払い方法などの条件を設定するだけで、空いているドライバーを自動的にマッチングしてくれるという。

海外の物流シェアリングエコノミー

海外では、こういった物流のシェアリングエコノミーサービスは登場しているのだろうか?

まず、香港で創設された「lalamove」が挙げられる。

同サービスは現在、香港・シンガポール・タイなどで展開している。

同サービスの配送システムは、スマートフォンのアプリから利用できる。

アプリ上で予約手続を完了させると、登録しているドライバーのなかから適した担当者を割り当てる仕組みだ。

香港はほかの国々と比較して、宅配サービスがそれほど発達していない。

アジア地域がターゲットとなっているのは、オンラインショッピング市場の拡大などにより物流量が増加しているにも関わらず、物流の整備がそれほど進んでいないことが理由として挙げられるようだ。

そのため、このようなニーズに応える手段のひとつとして、シェアリングエコノミー型の配送サービスは今後も普及していくだろう。

ほかには、大手ECサイトの「Amazon」が、商品の配送を一般の人々に委託する仕組みである「Amazon Flex」を提供している。

登録した人々は自分の好きな時間を配送の仕事に充てることができ、「Prime Now」の商品であれば1時間あたり18ドルから25ドル、「Amazon.com」の商品であれば1時間あたり18ドルの配送料を受け取れる。

Amazonが拠点を置くアメリカ・シアトルでスタートした同サービスは、今では30近くの都市で展開されており、その人気のほどがうかがえる。

いずれのサービスも物流業界の既存の仕組みにとらわれず、配送する側にとっても、利用するユーザーにとってもメリットのある、新たな仕組みを作り出しているようだ。

「空き時間をシェアする」という新しい発想

これまでの物流業界にはなかった「空き時間をシェア」するという発想。

これによって、業界が抱えていた課題を解決することができる。

こうした発想は、「ある程度の非稼働時間ができてしまうのは仕方がない」と諦めてしまっては出てこなかったはずであり、「なんとかして解決しなければ」という意識があったからこそ生まれたものであるといえる。

既存の仕組みにとらわれず、課題から逆算して解決策を考えていくことが大切だといえる。