倉庫が丸ごとロボット化する時代がやってくる?物流現場で活躍するロボットたち

テクノロジー

物流業界の人手不足はトラック運転手にとどまらず、工場での作業員も慢性的に足りていない状況が続いている。そこで期待が集まるのがロボット活用。センサー技術が進化し、柔軟な制御プログラムを実現したロボットたちが、物流現場を変えている様子をレポートしよう。

日立が自律走行可能な物流支援ロボットを開発

まずは、日立の開発した物品運搬ロボットを紹介しよう。このロボットの特長は、障害物を避けて自律走行できるところにある。

すでに物流センターなどで自律搬送車は使われているが、そのほとんどはガイドラインによって搬送経路を誘導してやる必要がある。しかし、日立が開発した物流支援ロボットは、ガイドラインなしで自律走行ができ、搬送経路が変わってもすぐに対応できる。

しかも、筑波大学との共同研究の成果である「障害物回避機能」を搭載しているので、搬送経路上に荷物が置かれた場合や、歩行者が横切った場合でも問題なく回避できる。

スムーズな障害物の回避を可能にしているのは「四輪独立操舵機構」。つまり、4個の車輪は、それぞれ独立して制御されている。切り返しの動作なしで方向転換ができるので、狭い通路にも対応できるのは大きな利点だ。

また、このロボットは複数になると、互いに連携させることができる。すべてを1台のように連動させることもできるし、順番に1台1台動かすというような連携作業もOKということで、運搬量の変動といったことにも柔軟な対応が可能になるということだ。

さらに、日立は、2016年10月に産業用ロボット向けに自律走行が可能な台車の販売を開始したことも発表している。

現在は、さまざまなロボットが、次世代物流支援ロボットとして登場しつつある最中といえよう。

ピッキングロボットの導入事例

次に、人手不足の解消と生産性の向上の一挙両得を狙った産業ロボットの導入例を見てみよう。

オフィス用品の大手であるアスクルは、2016年6月にピッキング作業を行う物流ロボットを導入した。物流センターの作業のなかでもピッキングと梱包はまだまだ人手に頼ることが多い。そこで、ピッキングに関して、アスクルとMUSINは「ティーチレスロボットピッキングシステム」を共同開発した。

導入したロボットは、商品の種類を特定し、その商品の大きさや形状に合わせてピッキングし、顧客別になっている段ボール箱に格納するという一連の動作を自動的に行う。ロボットの動作生成に関するソフトウェア技術を提供したのがMUSINである。その技術によりロボットアームの最適な軌道やつかみ方をプログラムとして瞬時に生成させることができるのだ。

ロボットゆえ1日24時間運用でき、生産性が3倍になったということだ。

成長するロボット市場。将来を見据えた対応を

2015年のロボット市場は約1.5兆円。20年後にはそれが9.7兆円になると、政府の「ロボット新戦略」(2015年公開)では見積もられている。

今後は、センサーや人工知能技術、情報処理技術が向上し、情報通信ネットワークの整備が進んだところに、労働力の確保といったニーズが絡んでロボットが普及していくのではないかと考えられる。これは、物流業界においても例外ではないだろう。

将来は、ピッキングシステムどころか、完全な自動化倉庫となり、倉庫の建物自体がロボットの一部となる日が来るかもしれない。対話型インターフェースを持つ自律型ロボットが出現すれば、顧客の対応やクレーム処理もロボットが行うようになることも考えられる。

物流業界でも今後ますます多くの作業が自動化され、ネットワークで結びつくことになるだろう。どのように自動化やネットワーク化に対応していくかが、将来の発展のカギになりそうだ。世の中の動向を知るためにも、最新情報のチェックは怠りなく行いたい。