運賃値下げに待ったをかけるために運送会社ができること

物流

運送会社同士の価格競争に勝つための、もっとも手っ取り早い方法は、運賃を安易に値下げすること。

しかし、そればかりをやっていては、価格競争の波に飲みこまれ、疲弊しきってしまうだろう。

そうならないためには、「トータルで物流コストを下げる」ための提案ができるようになることが必要。

そのために、まず「荷主となる企業はどのような方法で物流コストを計算しているのか」を知ることが大切だ。

その知識を前提として、荷主が負う「隠れ物流コスト」について学び、運賃を無理に下げさせない交渉ができるようになるのがオススメだ。

企業の物流コストにはどのような項目があるのか

荷主の計算する「物流コスト」は、そもそもどのような内訳項目から成り立っているのだろうか。大きく分けると、次の四つの費用に分けることができる。

人件費
賃金や諸手当、賞与、退職金、福利厚生費など、物流に携わる社員・パート・アルバイトに対してかかる費用。

配送費
配送車の購入・リース費、修理・整備費、燃料費、高速料、駐車料金、宅配便の料金、納入先の施設利用に係わる費用など。

保管費
荷物を保管する倉庫の賃貸料、保管を外部へ委託している場合の作業費、荷物の梱包装材費、倉庫内で使用するフォークリフトの購入・リース費など。

情報処理費
各種システムの導入費用や利用料、機器がリースの場合はその支払い金額、そして通信料などが含まれる。

各コストの計算方法

それでは、前項目で示した内訳項目は、具体的にどのような方法で計算されているのだろうか。

人件費
管理者、正社員、契約社員、パート・アルバイトなど、それぞれの役職ごとに何名の社員が物流の業務に携わっているかを0.5人単位でピックアップする。
そして、各メンバーの月あたりの賃金をベースとしてコストを計算するのだ。
場合によっては、営業や経理の社員が倉庫への運搬や検品などの作業を行っているケースもあるため、そうした社員の賃金も物流コストに含まれることとなる。

配送費
配送車をリースしている場合は、月ごとのリース費用が加算されている。
車輌を自社購入している場合は、2トン以下のトラックならば購入価格の2.5%、2トン超ならば購入価格の2%を月額として算出。
さらに、その他の燃料費、高速料、駐車料金などに関しても、月ごとにかかった金額が加算されている。

保管費
倉庫の賃貸料や委託している場合の作業費、梱包装材費などが加算されている。
また、倉庫内で使われているフォークリフトやラックなどが自社購入である場合には、購入価格の2%を月額として算出されている。

情報処理費
月々のシステム利用料や通信料などが加算されている。
また、機器を自社購入している場合には、購入金額の2.5%を月額として算出されている。

トータルで物流コストを下げる提案をするためのノウハウ

ここまで述べてきた内容を踏まえ、トータルで物流コストを下げるためには、荷主に「隠れ物流コスト」の存在を考えてもらう必要がある。

隠れ物流コストとは文字通り、表面には表れにくい“隠れた”物流コストのことだ。

つまり、上で見てきた一般的な経費に入らないものを指す。

そして、運賃の値下げを行うと、このコストが発生するリスクが高くなり、結果的に荷主側が損をしてしまうケースも多い。

例えば、物流業界では全てのトラック便を自社車両や専属車両で手配していることは稀で、基本的には業務の一部を協力運送会社に依頼している。

そうした会社は、閑散期には荷物を運んでくれたとしても、繁忙期になると運賃の高い案件に流れてしまい、配送が不可となるケースが発生しがち。

そうなってしまうと、本当に必要な時にトラック便の手配ができなくなり、荷主側が別のトラック便を探したり、通常よりも高い運賃で手配したりする必要が出てくる。

また、運送会社側が低い運賃で仕事を受けていると、車両の購入や整備にお金をかけられなくなるため、年式が古い、不具合のあるトラックが多くなる。

加えて、運賃を稼ぐために無理な運行をしてしまうため、延着が発生するリスクが増加してしまうのだ。

延着が発生すると、その対応のために荷主側も工数が割かれてしまうし、世間的な信用も失ってしまう。

こうした例を見るとわかるように、安易な値下げが、最終的には荷主側への負担に繋がってしまうのだ。

こうしたことを荷主に理解してもらい、安易な値下げを防げるようになっていこう。

おわりに

運賃値下げを食い止めるためには、交渉力を身に付けていくことが重要だ。運賃値下げが荷主側にどういった影響を与えるのかを理解することで、トータルでの物流コスト削減に繋がるような価格交渉をしていこう。