アジア進出の鍵?低温物流を可能にする日本のこまやかなテクノロジーとは

物流

生鮮食品や冷凍食品などを、冷蔵・冷凍の状態を保ったまま流通させる「低温物流」は、中国や東南アジアでもサービスを拡大しつつある。低温物流はどのような背景があって日本でこれほど発展し、どんな技術に支えられているのか。そして今後の展望はどうなっていくのだろうか? 今回は低温物流の仕組みを解明し、その未来を考察する。

日本で低温物流が発展した背景

日本において低温物流が発展した背景として、いくつかの理由が考えられる。

まず挙げられるのが、1945年に第2次世界大戦が集結したあと、米国において冷凍食品が急速に普及したということだ。これに影響を受け、日本でも冷凍食品を冷たいままで配送できる仕組みが求められた。

さらに、1960年代の高度経済成長で生活水準が向上し、それによって食生活が多様化したことで、そのニーズを満たすための食品配送の仕組みが必要となった。

加えて、テクノロジーの進歩により、高度経済成長以降から冷凍保存技術が発達し、それが一般家庭にも普及したことも、冷凍食品の一般化や低温物流のニーズの高まりをあと押しした。1970年代から電気冷蔵庫が普及し始め、1975年には普及率が100%に近づいたことは、冷凍保存技術の一般家庭への普及を象徴しているといえるだろう。

低温物流を支えるテクノロジー

荷物を低温の状態で輸送する際には、断熱構造の荷台と冷凍機を搭載した「冷凍車」と、特別な装置を使わずにトラック内部を低温に保つように作られた「保冷車」が使用される。

冷凍車は、一般的には機械冷凍式と呼ばれる方法で庫内を冷却している。これは乗用車のクーラーの強化版のようなもので、冷媒液を気化させて周囲の熱を奪うことで、その機能を実現している。また、冷凍車には配送中の温度が一定であったかをチェックするための「トランスポートロガー」と呼ばれる装置が使われている。これを車内や荷物内に同梱しておくことで、温度変化の履歴を管理し、万が一トラブルが発生した場合でもその時間帯や原因を特定しやすくできるのだ。

そのほか、GPS装置とパケット通信装置を取り付け、走行位置やドアの開閉履歴などのデータを送信できるようにした保冷車も登場している。こうした技術の登場により、配送業者が業務を管理しやすくなっただけではなく、顧客も配送状況を知ることができるようになった。

今後の展望~低温物流を中国や東南アジアへ~

現在、低温物流は日本だけでなく、中国や東南アジアでも普及しつつある。その理由として、例えば中国ではもともと輸送中に腐って廃棄される野菜や果物の数が非常に多いため、その廃棄量を減らさなければいけないということが挙げられる。果物や野菜、水産物などは、低温輸送・保管をしなければならない品目が多いにも関わらず、低温物流の仕組みが確立されていないために常温のままで輸送されているのだという。その状況を改善するため、低温物流の導入を進めることが急務となっている。

また、中国を中心としたアジア新興国は近年著しい経済発展を遂げており、それに伴って裕福な家庭が増え、食生活も多様化している。食事の質的な面でも、おいしくて安全な食品に対する需要が高まっており、低温物流による食品配送はより一層普及していくだろう。

おわりに

日本で生まれた低温物流は、今やアジアを中心とした世界各国でも評価を受けつつある。その背景には、それらの国が抱える物流の課題があり、その解決策として低温物流が期待されているのだ。日本で育まれた文化と高い技術。それは今、世界各国へと活躍の場を広げつつある。