盗難の被害に遭遇したくない。
それは誰しもが持っている願い。
しかし、被害を避けるためには、どのような条件でそれが起こりやすいのかを知る必要がある。
実は、「犯罪の発生要因は犯罪が発生した環境にある」とする考え方である“犯罪機会論”によると、盗難のような犯罪が起こりやすい場所と、そうでない場所が存在することがわかっている。
では、具体的にどのような場所で盗難が起こりやすく、どのように防いだらよいのだろうか?
ここでは、その基礎知識を紹介する。
周囲から何が起こっているのか見えない場所
まず、盗難が起こりやすい場所としては、「周囲から何が起こっているのか見えない場所」が挙げられる。
具体的には、高いブロック塀や大きな樹木などで囲われているような場所だ。
こうした場所は、外部からの視線が遮られてしまうため、その敷地の内部で何が行われているのかがわかりにくくなってしまう。
これを緩和するためには、外壁に金網のフェンスのような見通しがきくものを採用するのが望ましいとされている。
金網を足のかかりにくいものにしたり、忍び返しを取りつけたりすると、より一層の防犯効果が期待できる。
また、フェンスの周辺に鉢植えやプランターなどを設置することも有効だ。侵入をしづらくし、通行人の視線を呼び寄せて監視性を高められる。
そうした施策を行っても視認しにくい場所には、監視カメラを取りつけておくとよいだろう。
人間の目が届きづらい箇所にも設置でき、正確に情報を記録してくれる監視カメラは、犯罪を抑止する効果が特に高いと言われている。
実際、日本でもさまざまな公共施設で監視カメラが設置されるようになっていることは、皆さんもご存知のとおりだ。
加えて、清掃活動やボランティア活動を行うことなども、「そこは誰かから監視されている空間だ」という認識を高め、犯罪へ至る心理的な障壁を上げられる。
どこからでも入れて、どこからでも逃げられる場所
次に、「どこからでも入れて、どこからでも逃げられる場所」も盗難の多い場所として挙げられる。
具体的には、公園や共同住宅、公共施設などで、敷地への出入り口が特に限定されていないような所だ。
犯罪者がその領域に侵入する心理的な抵抗がほとんどなくなってしまうこと、また、何か起こったときにすぐに逃げ出せることなどがその要因となる。
こうした場所での犯罪を防止するためには、周囲を鉄柵や生垣などで囲い、特定の出入り口を設けるとよいだろう。
そうすることで、その場所と外部との境目を明確にし、自由に出入りをしづらくできる。
ただし、前項目でも述べたように、設置するものによって視界が遮られてしまわないように注意したほうがいいだろう。
また、庭に砂利を敷く、センサー式の警報装置を設置するなども効果的だ。
音や光によって犯罪者に「誰かに気づかれるかもしれない」と警戒させ、侵入を思いとどまらせることができる。
加えて、共同住宅や公共施設などでは、出入り口で許可証や身分証明書、カードキーの提示を求めることなども非常に効果がある。
普段はその施設を利用していないような来訪者には、名札やバッジなどを着用してもらうとよいだろう。
そうすることで、外部から入ってきた人物であることがわかりやすくなる。
いずれの施策も、「気軽に侵入することはできなそうだ」と犯罪者に思わせることが重要なのだ。
正しい知識を身につけ、正しい防犯対策を
盗難が起こりやすい場所には明確な特徴がある。
裏を返せば、そういった場所を避けること、作らないことで、犯罪を未然に防げるといえる。
正しい知識を身につけ、予防につなげていこう。