荷物の再配達は人手不足や運賃上昇、交通渋滞などの問題を引き起こすため、あらゆる人にとって悩みの種。
近年では、コンビニや自宅以外で荷物を受け取れるサービスの提供が始まっているが、それでもまだ改善はみられない。
そこで、宅配便大手三社ではこの問題を解決するために、それぞれ「宅配ロッカー」サービスを拡大させている。
日本郵便は宅配ロッカー「はこぽす」を全国1000か所へ
宅配便大手三社のひとつである日本郵便は、自宅以外で荷物を受け取れる宅配ロッカー「はこぽす」の設置場所を、東京オリンピックが開催される2020年までに全国1000か所に増やすと発表。
現在は、日本橋・浅草といった都内の大規模郵便局計22か所に設置されているが、今後は駅前やスーパー周辺にある小規模な旧特定郵便局、イオンやローソンといった場所にも拡充するとのことだ。
受け取り人不在で持ち帰った荷物をロッカーで受け取れるサービス「はこぽす」は、2016年3月から提供されている。
これまでこの「はこぽす」を使用できる配送サービスは日本郵便のゆうパックに限られていたが、他の宅配ロッカーサービスと隣接した場所に増設することによる利用者の混乱が懸念されたため、次項でご紹介する「PUDO(プード)ステーション」同様、今後オープン化する方針となっている。
また、一部の「はこぽす」には郵便ポストを組み込み、郵便物を送るなど、ゆうパックの受け取り以外の利用法も検討中だ。
ヤマト運輸がオープン型宅配ロッカー「PUDOステーション」を構築
2016年1月、ヤマト運輸がフランスのネオポストと連携し、日本でオープン型宅配ロッカーインフラを構築することを発表した。
これは、ネオポストがすでに始めているオープン型宅配ロッカーサービスを応用し、高品質かつ利便性の高い新たな宅配ソリューションを提供しようという試みだ。
フランスでもこのような宅配サービスが始まっているということから、再配達の問題は各国共通の悩みだということがわかる。
ヤマト運輸はLINEとの提携で宅配予定時間の事前通知や受け取り場所・時間の変更を行えるようにしたり、宅配業者はコンビニを活用した受け取り場所の拡大をしたりと手を尽くしたが解決には至らず、オープン型宅配ロッカー「PUDOステーション」の導入へと歩を進めた。
大手三社が手を結ぶ「オープン型宅配ロッカー」とは?
ところで、「オープン型宅配ロッカー」とはいうものの、どの部分が“オープン”なのか疑問に思う方も多いだろう。
これは「どの宅配業者でも活用できる」という意味で、現在ヤマト運輸と佐川急便が利用している「PUDOステーション」などに当てはまる。
前述のように、日本郵便の「はこぽす」も、これにならいオープン化する運びとなった。
その理由のひとつとして、国土交通省が駅や商店街などへ宅配ロッカーの拡充を後押ししているということも挙げられる。
受取人不在による再配達を減らすためには、利用者にとっても宅配業者にとっても利便性のよい場所で荷物の受け渡しができることが必要不可欠だ。
もし、駅や商店街など帰宅前に立ち寄れるスポットや生活に密着した場所で荷物が受け取れるようになれば、利便性は向上する。
しかしながら、それぞれの宅配業者が別個に宅配ロッカーを構えてしまうと、利用者の混乱を招くことは目に見えて明らか。
そのため、三社ともオープン化に乗り出したというわけだ。「宅配ロッカーの普及は、利便性の向上とドライバーの労働力不足解消にも貢献する」。宮内秀樹国土交通省大臣政務官は、2016年7月に開催された中央合同庁舎3号館内の宅配ロッカー設置セレモニーでこう述べている。
今後は、新しいライフスタイルのひとつとして、オープン型宅配ロッカーが定着するのかもしれない。
日本から再配達がなくなる日
インターネット通販の普及により、社会問題となっている再配達。
オープン型宅配ロッカーの増設は、宅配会社・荷主・受け取人の三者のやり取りをより快適にする手法のひとつといえるだろう。
近い将来、日本各地から再配達がなくなる日がやってくるのかもしれない。