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TAPA認証導入に必要なソフト面での取り組みとは

TAPA認証導入に必要なソフト面での取り組みとは

セキュリティを高めるには、単にハード面を整備するだけでなく、働く人間のセキュリティ意識を向上することも重要だ。

ときには、従業員のセキュリティ意識が薄いことが要因となり、事件や事故につながるケースもある。

高いセキュリティを求められるTAPA認証を導入することにより、従業員のセキュリティ意識が向上するという副次的な効果もある。

「セキュリティリテラシー」を持つ重要性

セキュリティ対策は、時代に応じた最適な手段をとる必要がある。

また、「知らない」ことがセキュリティリスクとなることも考えられるため、「何のためにこういった制度を導入しているのかわからない」「必要性を感じない」という従業員が多いほど、リスクは高まるといえるだろう。

こういったリスクを回避するためには、セキュリティに関する意識や知識、つまり「セキュリティリテラシー」が必要となる。

そのためには、まず自社がどのレベルのセキュリティを実現できているのか、客観視する必要がある。

TAPA認証導入では、高いセキュリティレベルを求められることから、セキュリティシステムに従事する人材を増やすことが重要とされる。

そのため、結果的にセキュリティリテラシーの高い人材の育成や体制の整備などにもつながるというわけだ。

TAPA認証のソフト面への取り組み事例

TAPA認証で求められるものには、倉庫とその周辺セキュリティや出入り管理、運搬用トラックのセキュリティなどが挙げられる。

まず、フォワーダー(貨物利用運送事業者)が犯罪歴のない従業員を雇用し、運営しているかが重要視される。

海外ではデータベースによって個人の経歴を閲覧できるところもあるが、日本では個人情報保護法によって、本人の同意なく犯罪歴のような情報を収集することは不可能である。

そのため、履歴書の経歴や以前働いていた企業への確認などにより対処するというのが一般的だ。

また、死角のない監視カメラシステムを設置することは、不審者の侵入防止はもちろん、従業員に不審な行動がないかチェックするという面でも役に立つ。

むやみにカメラの台数を増やせば当然コストは増大するため、必要最低限の台数を割り出し、コスト削減に努めることも重要だ。

そのほかにも、トラック運転者に対する教育(運行計画の遵守や保安教育)も、ソフト面の取り組みの例として挙げられるだろう。

TAPA認証導入により変わる、セキュリティ意識

すでにTAPA認証を導入している西日本鉄道の苅田氏は、「コスト負担は大きいが、ロジスティクスセンターの従業員のセキュリティに対する意識が向上した」と座談会で語っている。

倉庫内での整備や作業効率、社内規律など品質管理面でも向上したという。

CCTV(有線テレビシステム)の設置により、倉庫内で事故が起きたときの原因を把握することもできると、そのほかのメリットも実感できたようだ。

また、時間の経過によって形骸化したセキュリティルールを見直せることも、TAPA認証導入による大きなメリットといえるだろう。

例えば、監視カメラの死角が多かったり録画機能がなかったりと、ほとんど意味をなさないようなシステムを使っている企業も実は多くある。

TAPA認証では2年ごとに継続審査が入るため、定期的にセキュリティルールを見直す必要がある。

こうした見直しの機会を作ることで、従業員のセキュリティリテラシーを高めることはもちろん、セキュリティの形骸化を防ぐことができるのだ。

物流事業者の実態にマッチした投資が重要

ただし、複雑すぎるルールはかえって作業効率を下げ、結果としてセキュリティの弱体化を招くこともある。

TAPAでは70以上もの評価項目があるが、これらすべてをカバーする設備投資は、多くの物流事業者にとって現実的に不可能だといえる。

そこで、施設内のリスクをじっくりと分析し、それぞれの実態にマッチした投資が必要となってくる。

こういったニーズに応じて、例えばSOMPOリスケアマネジメント(損保ジャパン・リスクマネジメント)では、TAPA基準に基づいて開発した独自の安全性評価基準を用いて物流センターや倉庫のセキュリティレベルを診断する「物流セキュリティ診断」を実施している。

ポイントを絞って評価することで、リーズナブルな価格で診断できるサービスとなっている。

こういったサービスを利用することは、先述した自社のセキュリティレベルを客観視することにもつながり、ひいてはTAPA認証導入のためのステップとしても役立つといえるだろう。

セキュリティリテラシーの高い人材教育にも役立つ、TAPA認証

従業員一人ひとりが高いセキュリティ意識を持つことは、リスク回避はもちろんのこと、高いセキュリティ品質を保つことにもつながる。

TAPA認証はコストがかかる反面、セキュリティ意識の高い人材の育成にも役立つ目に見えないメリットが隠れていることがおわかりいただけただろうか。

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