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大型化する物流不動産。その背景と今後の展望

大型化する物流不動産。その背景と今後の展望

ECサイトでの買い物の普及、そしてノンアセット型の3PL企業の増加などを受け、物流不動産の需要は右肩上がりに上昇している。また、近年建設されている物流不動産の特徴として、1棟あたりの規模が大きくなる傾向にあるといわれている。そうした潮流は何が原因で起こっているのだろうか? 物流不動産大型化の背景と、今後の展望を概観する。

大型化が進む物流不動産

国土交通省が発表した『建築着工統計調査』によると、物流不動産の床面積は、2011年ごろから徐々に増加傾向にあり、1棟当たりの施設床面積が大きくなっている。また、2万平方メートル以上の施設床面積の占める割合も、年々増加している。倉庫の着工棟数そのものは減少しているにも関わらず、それと相反してこうした事象が起こっているのはどのような理由からなのだろうか?

物流不動産が大型化している理由

消費者の購買スタイルの変化

その背景としてはまず、消費者の購買スタイルの変化が挙げられる。最近では、店頭に実際に足を運んで商品を購入するのではなく、ECサイトを活用してインターネット上で買い物をする人の割合が増えていることは、皆さんもご存知の通りだろう。

総務省が平成27年に発表した『情報通信白書』によると、ネットショッピングの個人利用率は全年代平均で7割を超えている。こうした購買形態が一般的なものとなってくると、家庭まで商品を配送するための運送会社、そして倉庫会社の業務量が増加することとなる。

ノンアセット型の3PL企業の躍進

加えて、荷主企業や物流企業以外に、荷主でも運輸会社でもない第3番目の事業主体であるサード・パーティによる、3PL(サード・パーティ・ロジスティクス)と呼ばれる物流方式が台頭してきたことも、物流不動産の大型化に拍車をかけた。

3PLのなかには、自らは物流業務を手掛けていないものの、外部の倉庫会社や運送会社と業務委託を結び大規模な物流システムを構築する方式があり、これは「ノンアセット型」と呼ばれる。経営資源を集中しコストを低減できること、そして、事務効率を改善できることなどから、このビジネスモデルを採用する企業は近年その数を増やしてきた。こうした企業が保管業務を委託する際には、複数の業者に依頼するよりも大きな倉庫を持った1社に依頼する方が業務効率は良いため、そのニーズに応える形で巨大な物流不動産を建造するケースが多くなっている。

今後も進む、物流不動産大型化の流れ

物流不動産の需要は今後も増えることが見込まれている。前述の通り、ECサイトを活用した買い物は依然として普及し続けており、今後もその傾向が変わることはないだろう。また、「月刊ロジスティクス・ビジネス」2015年8月号のデータによると、日本における3PL市場の規模は年々増加し続けており、今後も成長が見込まれている。2005年と比較すると、2014年の市場規模はなんと2倍以上にもなっている。また、2016年にはプロロジス、GLP、シーアールイーなどの大手不動産会社が次々と大型倉庫の竣工に着手しており、このことは、物流不動産大型化の傾向を如実に表している。

おわりに

物流不動産大型化の流れは、消費傾向の変化や新しい物流事業形態の登場など、物流業界において過去になかった潮流が起こっているからこそ発生しているものだ。そして、物流業界に携わっている以上は、その流れとは無関係ではいられない。その背景にあるものを理解し、業界に起こっている変化を正しく読みとれるようになる力が求められている。

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