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ドローンを活用した空からの防犯体制最新事情

ドローンを活用した空からの防犯体制最新事情

ドローンは現在、世界的にみて産業向け、消費者向けにかかわらず、開発競争が加速している。ドローン市場は、今後年率100%以上の伸長をみせるだろうという予測もある。

日本では、首相官邸の屋上にドローンが落下しているのが発見された2015年が、空撮ドローンが大いに耳目を集めた年といえよう。その結果2015年12月には、200g以上の重さの無人航空機に関するルールを定めた「改正航空法」が施行された。

今回は、ドローンにまつわる話題のなかから、ドローンの警備への活用について紹介する。

世界初のドローン警備とは?

自律型ドローンを使用した民間防犯用としては世界初の監視サービスを開始したのが、警備サービス業界トップのセコムである。2015年12月のことであり、世界的にも大きなニュースとなった。

ドローンの大きさは、幅57cm×奥行57 cm×高さ22.5 cm、重さ2.2kg飛行スピードは時速10km。施設内に設置されたレーザーセンサーが不審な人や車の無断侵入を検知すると、ドローンが3~5mの高さから追跡し、画像を撮影する。画像はコントロールセンターに送信され、不審者(車)の情報を得ることができる。

LEDライトを搭載していることから、夜間であっても人の顔や車のナンバーはカラーで撮影でき、相手からの攻撃を自動的に回避する機能もついている。

監視域が広い場合には、固定の監視カメラでは死角ができたり、人や車のナンバーを鮮明に撮影することがなかなか難しかったりするが、ドローンで追跡・撮影することで、有用な画像情報が得られ、防犯効果も高くなる。

より広域の監視に「飛行船+ドローン」

イベント会場の監視のように、より広域で精度の高い監視を行うために、セコムでは監視機能を搭載した自律型飛行船を開発した。

全長19.8m、最高速度は時速50kmを誇るこの「セコム飛行船」は、人の操縦を必要とせず、連続飛行時間も2時間以上と長い。搭載機器には、高精細カメラ、熱画像カメラ、サーチライト、指向性スピーカー、状態表示灯などがある。

監視体制は、飛行船とドローンおよび地上カメラが連携しており、飛行船が高度100mから情報を収集する一方で、ドローンは高度3~10m、地上カメラは地上からの情報を収集する。監視区域全体に監視カメラを設置することが困難な場所でも、漏れなく監視することが可能となっている。

広域を俯瞰して監視している飛行船が不審者(車)を見つけると、セコムのコントロールセンターに映像が自動的に送信される。ドローンを現場に急行させ、不審者(車)の特定に重要な顔や車のナンバーを捉えることが可能となっている。

ゴーグル型のデバイスを装着すると、飛行船が撮影した景色を首の動きに合わせて見ることが可能であるということだ。地上にいても、空から会場の周囲を360度見渡してチェックすることができる。

このシステムは、2016年6月の「G7伊勢志摩サミット」で実際の警備に用いられた。

不審なドローンの警戒も

ドローンが警備に役立つ一方、ドローンによる侵入もある。そこで、不審なドローンに対する防犯体制についても紹介しておこう。

セコムは2016年9月に開催された「G7長野県・軽井沢交通大臣会合」において、最新セキュリティシステムである「セコム気球」および「セコム・ドローン検知システム」を導入して警戒にあたった。

「セコム気球」は会場周辺に係留され、搭載されたパンチルトズームカメラ(*1)で警戒に当たった。

「セコム・ドローン検知システム」は、ドローンが監視エリア内に侵入すると自動的に検知する仕組みになっている。検知と同時に3D指向性マイクがそちらの方向の音を集音、近赤外照明付高速パンチル トズームカメラが侵入したドローンを自動的に追跡し、ライブ映像を送信する。

*1:カメラのレンズの向きを左右自在に動かすことを「パン」、上下に動かすことを「チルト」、広角にしたり望遠にしたりすることを「ズーム」と呼び、これら3つの機能を持ったカメラを指す。

将来は人工知能(AI)がドローンをより効果的に活用?

警備におけるドローンの利点はその駆動性にある。さまざまな分野にAIが使われ始めている現在、警備に関しても将来的にAIが取り入れられることは想像に難くない。上空からの警備に関しても、AIが情報を統括するようになると、ドローンをより効果的に活用できるようになるだろう。そうなると、さらに効率的な警戒と対応が可能になるに違いない。

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