㈱いそのボデー コーポレートサイトはこちら

【トラックのバッテリー寿命】はどのくらい?短くなる理由と対策

【トラックのバッテリー寿命】はどのくらい?短くなる理由と対策

トラックは業務上酷使するケースが多いため、「こんなに早くバッテリーがダメになってしまった」と驚くような経験をされた方もいるかもしれません。トラックのバッテリーの寿命を長く保つためのメンテナンス、定期点検の重要性についてご紹介します。

トラックのバッテリーが短くなる理由

車両のバッテリーには寿命があり、通常は3〜5年です。トラックであっても基本的には変わりませんが、使用の状況によっては2年持たずに寿命がきてしまうことがあります。具体的なケースは以下です。

セルモーターの起動、停止の回数が非常に多い

セルモーターはエンジンを起動するためのモーターですが、ここを立ち上げるのにバッテリーの電力を使用しています。ですので、頻繁にエンジンをかけたり切ったりするようなトラックはバッテリーの消費が激しく、放置していると寿命が短くなります。

具体的には、宅配便のトラック、配送車両などがこのケースに当たります。近年は、荷物の積み込み、搬出中などはトラックのエンジンを切って作業を行うため、移動区間が短く、日に何十件も回るような場合はバッテリーに大きな負荷がかかっていると言えます。

また、渋滞によく巻き込まれるようなケースでも、バッテリーに負担がかかっています。アイドリングストップ機能がついている車の場合、ブレーキに足を置いている間はエンジンが自動的に止まります。足を上げるとまたエンジンがかかりますが、これを頻繁に繰り返すことでバッテリーが消耗します。

放電過多の状況

放電過多とは充電される電力より放出される電力の方が多い状況です。これはバッテリー上がりの原因となり、最終的にはバッテリーの寿命を縮めます。

車両はエンジンを切っていても、内部のカーオーディオやランプなどの電気機械には電流が流れています。これは暗電流といい、各電気機器を正常に作動させるためのものです。ですので、車を使わずに数日、数週間と置いておくだけでもバッテリーは消耗していきます。久々に車にエンジンをかけたらバッテリーが上がっていてかからない、というのはこれが原因です。毎日使用する車であれば、走行時にオルタネーターから電力が供給されるため、放電過多によるバッテリー上がりにはなりません。

また、車両に積んである電気機器が電力の消耗が多いものだったり、ライトを長時間ひとところ点灯するような状況でも放電過多になります。これは文字通り、車を運転中に放電している量が多いことで発生します。

トラックの場合だと、使用するのがほとんど夜間のトラックは放電過多になりやすいです。運転している時=ライトをつけているからです。いわゆるデコトラと呼ばれるような電飾を派手につけているトラックも、バッテリー上がりの危険性が高いと言えます。また、特定の時期にしか使用しない、使用頻度にかなりムラがある、などの使い方をした場合には、運転しない間にバッテリー上がりを起こしているケースはあります。

バッテリー上がりを起こした時は、他の車のバッテリーとブースターケーブルでつないでもらったり、充電器を使うことでエンジンをかけることができます。しかし、頻繁にバッテリー上がりを起こすと寿命が短くなります。

過酷な使用状況

非常に暑いもしくは寒い地域を運転するような場合は、空調の稼働が激しくなるため、それだけ電力を消費します。そのためバッテリーの寿命が短くなります。

またバッテリー自体が異常に熱を持ったり、あるいは極寒におかれることで消耗し寿命が短くなることもあります。

バッテリーの寿命を延ばす方法

上記のような理由でバッテリーの寿命が短くなりますが、延命する方法はあるのでしょうか。これにはバッテリーを消耗している理由を解消するしかありません。

たまにしか運転しないようなトラックを日常的に稼働させるようにする、夜間だけでなく昼間もバランスよく稼働させる、配送先の組み合わせを工夫して近すぎる場所を担当しないようにするなど、いろいろ考えられます。しかし、現実にはこれは非常に難しいです。バッテリーの寿命を長くするために業務に支障をきたすようではいけません。

ですので、業務中にバッテリー上がりやバッテリーの寿命が来ないように日頃から点検を行い、突然のトラブルに備えることが必要になります。バッテリーの充電が少なくなっているようであれば充電をし、寿命が近いようであれば交換をするのです。

バッテリー交換の基礎知識

寿命がきたトラックのバッテリーは交換するしかありません。バッテリーの交換は知識さえあれば自分でも行うことができます。基本的な交換方法をご紹介します。

バッテリーの選び方

基本的には今ついているバッテリーと同等の製品を選ぶことになります。見分けるにはバッテリー形式を読み取る必要があります。

バッテリー形式はバッテリー表面に書いてありますが、エンジンルームへの取り付け状況によっては隠れてしまっている場合もあります。固定用のボルトやナット等を外す際には、エンジンルームに落としてしまわないように気をつけましょう。

バッテリー形式は「50E24R-MF」のように記載されています。

頭の数字「50」は性能ランクを表し、大きれば大きいほどパワーが増えます。

次の「E」はバッテリーの奥行きと高さを表します。6段階で表され「B→D→E→F→G→H」の順番で大きくなります。

次の「24」はバッテリーの横幅です。cm単位と考えればいいのでこの場合は約24cmです。

次の「R」はマイナス端子が左右のどちらについているかを表しています。RはRight(右)、LはLeft(左)です。ですのでRの場合はバッテリーを正面から見て右側にマイナス端子がついています。

最後の「MF」は今はあまり気にしなくても大丈夫です。メンテナンスフリーの略で、バッテリー液が長持ちしたり放電を抑える機能がついているバッテリーであることを表しています。

上記の全5項目のうち、特に重要なのは「E」「24」「R」の部分です、E24はサイズなので、大きいものを購入してしまうと取り付けられないことが考えられます。Rの部分も左右逆だと取り付けに支障がでます。

最初の50の部分は、大きくなる分には問題ありません。例えばもともと取り付けてあったバッテリーが40で、それを交換して70にするというのは、電力の容量が増えるわけです。バッテリー上がりの危険性も減りますし、ライトが明るくなったり、オーディオの音質が良くなる、エアコンの効きが良くなるといったメリットがあります。

トラックのバッテリーの繋ぎ方

バッテリーにはマイナス端子とプラス端子が一つずつあります。2つのバッテリーなので全部で4つの端子があるわけです。

トラックにつながっているマイナス端子、トラックにつながっているプラス端子、バッテリー同士でつながっているマイナス端子・プラス端子という構造になっています。

まず、寿命がきたバッテリーを外す場合は、

①トラックの配線につながっているマイナス端子を外す
②トラックの配線につながっているプラス端子を外す
③バッテリー同士でつながっているマイナス端子を外す
④バッテリー同士でつながっているプラス端子を外す
という手順で行います。

逆に新しいバッテリーを取り付ける場合は、

①片方のバッテリーのプラス端子から別のバッテリーのマイナス端子を配線する
②残っているプラス端子をトラックの配線につなぐ
③残っているマイナス端子をトラックの配線につなぐ
という手順で行います。

特に気をつけないといけないのは、接続中にプラスとマイナスが触れないようにすることです。ショートしてしまい火傷や火事の原因になります。

定期点検の重要性

バッテリーの寿命には前兆があります。エンジンのかかりが悪くなる、ヘッドライトが暗い、パワーウィンドウの反応が悪いなどです。こういった場合は、まずバッテリー液が少なくなっていないか確認しましょう。バッテリー液がUPPERからLOWERの間に保たれていれば良いですが、LOWERの線より下に来ている場合は蒸留水(希硫酸)を補充する必要があります。

日常点検でバッテリー液の点検を行うことで、バッテリー本体の消耗を減らし寿命を延ばすことができます。

また、3ヶ月ごと、12ヶ月ごとに行うことが定められている定期点検では、バッテリーとトラックの接続状況を点検します。接続がゆるむことで通電が悪くなるだけでなく、ショートなどの危険もあるのでしっかり確認することが必要です。

しかし、日常点検にしても定期点検にしても、そこまで負担となる内容ではありません。日頃のトラックの運用状況で改善できる部分のテコ入れや、運転中の違和感などを見逃さないようにすることも含め、しっかり行いバッテリーの寿命を見極めましょう。

まとめ

トラックの運転中にバッテリー上がりが発生すると、周囲のトラックのドライバーに協力してもらわなければなりません。また、対応できるトラックが見つからない場合はJAFを呼ぶ等が必要になります。

これが、冷凍車であればエンジンが止まることで積荷に致命的な損傷を与える場合もあるでしょう。また、時間のロスにもつながるので、配送先へ迷惑をかけたり、復旧後急いで運転することで事故の危険性も高まります。

トラックのエンジン起動に関わるバッテリーの点検、交換は日頃から気をつける必要があるのです。

メンテナンスカテゴリの最新記事